両親のお見舞いに数年ぶりで那須へ行きました。先々週。そこで、前項の「むかご」獲りなどもしたのですが、訪ねてみて、もちろんいろいろとシビアな問題もあるのですが、一方で、「ないものを あるもので」のルーツともいうべきものも見つけたりしました。
子どもの頃から、家の中では「壊れたものは何とかして直して使う」、お金を使わずに「出来る限りの物は作ってみる」というのが当たり前でした。そのため、家電などは異常なまでに長持ちし(父は機器メーカ勤務)、服もファブリック類もオリジナル度が高く(母は文化服装)、手作りのものが普通にある日々でした。
今回、台所仕事をしていて見つけたもの、

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おたま、いまどきはレードルと言うのかな、当然これは私が生まれる前から(おそらく)数十年使われているものです。しかし、本体(金属部分)は頑丈でも、持ち手は傷む。おんぼろになったので、庭の木を切ってきて、それをパーツとして付けた。らしい。

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なかなかニュアンスのあるwできばえ。「これ、何の木?」と父に訊いたら、「しゃらだよ」と言う。母が「あれよ、沙羅双樹よ、諸行無常の」。庭でなかなか綺麗な花を咲かせるらしい。「どの木?」と教えてもらって、庭で見つけたのが、

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この木。「持ち手」で見ている時から「さるすべりみたいだな」と思っていたけれど、木肌が似ている。仲間でしょう。どうしてもこの木がいいと選んだわけではなく、たまたま枝払いをして、小枝があったらしい。それで、削り出して、金具を作って(こういうの、作ってきてました、会社で。本来はNGです)取りつけた、と。
使い勝手はですね。微妙です(笑) 枝がくねっているのをそのまま活かしているので、普通のお玉にはない躍動感がwww でも、使っていると慣れます。

こんなのもありました。

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山椒の木(これも庭にある)を伐って作った自家製すりこ木。ほんとに材料から自家製だし。ご存じの通り、市販のすりこ木も、高級品は山椒です。ほのかにいい香りがするからかなぁ。
下に写っている土瓶の弦(つる)も、傷んだのを糸を巻いて直したんだそうで。可愛いね。

何しろこれは一例で、家内いたるところにこういうものが散見されます。キッチンのワゴンも玄関の傘立ても、庭にかつてあった桜の木で脚を作ったものだし、家電などはキマイラ宜しく手で削り出したパーツが付いているし。大物では「プリンタの台」もだ。凄いんですよ、ケヤキかなんかの枝で作ったから、トム・ソーヤーの小屋みたいなことになっています。慣れているのであまり私は気になりませんが、知らない方はギョッとするかも。今度、それも撮影しようか。

タイトルに書きましたが、私の、物を直したい情熱とか、何でも自分で作ってみたいと無駄に思う気持ちとか、そういうのはみんな、この教育(洗脳?)によるものなのだなあ、と改めて思った次第です。ここさえ直ればまだ使える、と思うと居ても立っても居られない、という感じなんです。「新しいものを作った方がクリエイティブじゃーん」という指摘も受けますが、いやいやいや、案外創造力要るんですよ、修理。楽しいんです、工夫するのが。修理してちょっと可愛くなったりするのとか。「ないもの」はコンビニエントに買ってくる・・・前に、「あるもの」で工夫する、「あるもの」を直す。ことができないかとかんがえる。
いつまでできるかわからないけれど、生きていられたら、「ないものあるもの」遺伝子に逆らわず、手仕事を続けて行こうと思っています。



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# by tsunojirushi | 2016-10-09 14:59 | 日々の出来事 | Comments(2)

むかごのできるまで

むかごをご存知でしょうか。わたくし、大好物でして、庭へ蒔いては増やしています。夏の終わりに、今年も花が咲きました。

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むかごはヤマノイモや長芋の蔓につく「芽」です。芽だとは近年まで知りませんでした。正体としては、黒い皮をかぶった極ミニチュアのお芋みたいなものです。これも土にぽろりと落ちればそこから蔓を伸ばして育ちます。これとは別に「さく果」と呼ばれる「種」も付けます。こちらは楓の種のように羽根付きで、少し遠くまで飛ぶようにできています。植物はこうして知恵を絞り、子孫を残そうとするんですね。
むかごは、花が咲いた付近の、葉の叉みたいな部分に点々とつきます。二つずつくらい。上の花の写真は世田谷ですが、ここから下の完成図は栃木県で撮りました。所要で出かけて行ったのですが、季節がだいぶ東京より早いので、既に出来上がっていたのです。

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つやつやと綺麗な大きな実がたくさん。身体が不自由で家から出られない母親のために、蔓を切って家に持ち込みました。母は喜んで、「こんな風に付いているのね」としげしげと眺めていました。自然の造形は美しいですね。

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撮影をした後は、ご飯に炊きます。あまり余計なことはしません。もったいないからです。お米を研ぎ、お塩とお酒を少し入れて、その上に洗ったむかごを載せて普通に炊くだけです。むかごから旨みや滋味が出て、いい香りがして、美味しいご飯が炊けます。

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秋の味覚。人さまのうちのはNGですがw、道端や旅先の山などで見つけたら、ポケットに少し頂いてきて、ご飯を炊いてみてください。噛みしめるとおいしいお芋の味がして、すすきやかえでの葉を涼風が渡る、里の秋の情景が見えてくるような美味しさです。


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# by tsunojirushi | 2016-10-04 02:48 | 植物 | Comments(0)

横浜中華街

蒸篭、せいろと読みます。以前ここでも蒸篭普及記事を書いたのですが、さほど反応もなく。と申しますか、ブログ自体にさほど反応もなく。いえ、いいのです、どれかの記事を誰かが見つけ、微かに役に立ったなら…と書いていますので。のっけから脱線しますが、このブログを作った動機がそれです。今まで何か困った時、例えば、調理法のわからん食材が手に入ったとか、身の周りで「これ、どうしたらいいんだろう?」という時、助けになってくれたのは、「さまざまな方が書かれたブログ」だったから。いえ、私の知識や経験など取るに足らず、お世話になった方々には遠く及ばない。でも、それなりに経験することもある。こうして上げておけば、いつか誰かがそれを、私がそうであったように、参考になさるかもしれない。そう思ってのことでした。そうだといいなぁ。
脱線から戻る。
それでその、大好きで何十年も使っている「蒸篭(せいろ)」ですが、もう何代目かになります。お鍋は同じですが、春夏秋冬使う蒸篭は傷みます。で、ここのところ、使用中の二段ともだいぶおんぼろになったので、横浜中華街へ。ここの「照宝」さんという中華厨房器具やさんというのかな、で買っています。今はとこにでもあると思うのですが、最初にここで買ったので。サイズは18センチ。一番安いもの。お店には大小さまざま、ランク(材質が杉、ヒノキとお高くなってゆく)もさまざまな蒸篭がたくさん積まれています。いろいろとお店の人にお話を聞くのも楽しい。折しも連休で中華街はすごい人でした。が、調理器具を買う人はそんなにいないので、お店の中は比較的落ち着いていました。中華街、人が戻ってきたなー、という印象です。食べ物の安全性などが問題になった一時期、閑散としたことがありました。休日でも人がいなかった。今は信頼を取り戻し、にぎやかになりました。
照宝さんから、寄り道は「泰和商事」さんへ。台湾のお茶屋さんです。ここに、その昔、有名な看板猫さんが居ました。三毛の美人で23歳まで(私が知る限り)お店に居て、そのひとに会いたさに最初は行ったのです。ご高齢でストーブの前に寝ているか、或いは棚の奥に居るか、そんな風だったけど、会えるとうれしかった。写真を探してみよう。

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あった。暗いけど、箱に載っているメアリさん。最晩年の姿。撮影2013年でした。懐かしい…。
以来、彼女はもう亡くなったのですが、中華街にゆくと立ち寄ります。今回伺ったら、お店が模様替えされていて、こんな美味しそうなものが店頭にありました。

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おおお、これは飲んでみたい。買いました。台湾のデザート、愛玉子と書いておーぎょーちー、台湾に自生する植物の種から取り出す天然ペクチンですが、そのゼリー状の物を刻んで、レモンジュースに入れてあります。ぶっといストローで飲む。タピオカココナツ的な構造です。すんごく旨かった。手作りでおいしいんだ。おじさんがお店でせっせと作っておられました。写真撮っていいですか?とお尋ねして、お話を聞いたら(つい習い性で取材する)、この夏始めたのだそうで「大人気」とのこと。素晴らしい。どんどん宣伝してくださいとのことでしたので、誰も読まないブログですがwあげてみる。涼しくなったら終わっちゃうかなー、おススメです。是非。

買ってきた蒸篭。

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新品。蓋まで新調しちゃった。これでまた秋の食材、冬に向かって肉まんとか、たくさん蒸します。(後ろに写ったバッチいのが傷んだ先代)

チャイナタウン、子どもの頃から歩いている横浜の町は、なんとなく懐かしく、とくに中華街はあまり様子が変わらないので(横浜のそのほかは面影ゼロです)、ほっとします。メアリさんと一緒の国に逝ってしまったディヴィッド・ボウイの「チャイナ・ガール」も、この町となんとなく重ねて聴いたことを思い出します。昔は超絶技巧の布製品の宝庫でしたが、今は残念ながら技術の衰退を実感します。かつては、高価なものでなくても、パジャマの刺繍ひとつ、ビーズのカーディガンとか、そういうものまで凄かった。値段に見合わぬ正確さ、丁寧な手仕事でした。今は、汕頭の技術者がいないと聞きますが、さもありなん…と思うのです。中華街から「手仕事」は明らかに消えました。
経済経済、効率効率と言うけれど、ゆきすぎると文化が衰退する。そういうことに気付く人も少しずつ増えている昨今だとは思っていますが。
とまたしても脱線して終わる。


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# by tsunojirushi | 2016-09-26 13:08 | 美味しいもの | Comments(0)

地デジと蜂

今日はあれです、ハンドメイド・拵えもの一切関係なしです。でも、書いておきたいてんやわんや(死語)があって、ここに書くっ。
ここのところ、仕事が続き、さらに風邪気味なので、今日は丁とまったりしていようと思ったのに、(↓参考画像=「丁」)

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ピンポーンて作業着のおじさんがチームでやってきた。しかも、クレーン車みたいな車で。で、実は今日は庭の柿の木の「アシナガバチの巣」を撤去しに来ることになっていたので、それかと出たら、
「テレビのアナログアンテナ線を撤去に来ました」という。・・・聞いていない。でも、一応拙宅も地デジ対応はしている(と言ってもブラウン管テレビが使いたくて、レコーダで受信しているが)から、「了解しました。どうぞ。ただし蜂がいますから気を付けて」と取ってもらった。庭の真ん中を横切っていた線が無くなった。エナガが掴まってぷらんぷらんしていたからそれはちょっと残念。でもまぁ、すっきりした。
すっきりしたは良いが、おじさんに「テレビ映りますか~」と訊かれて点けたら、映らないっっっ。さー、大変だ。そして、おじさんたちから聞かされた経緯が以下。

その昔、この家の近所にマンションが建つことになった。それが東京タワーから来ていたテレビの電波を遮ることが分かったので、「建ててもいいけど、てっぺんにテレビアンテナを付けて、その受信をケーブルで電波の陰になる家々に流してね」ということにしたらしい。時は流れ――、陰になった家々の村人たち(お金持ち)は次第にケーブルテレビに入るやら、地デジ用のアンテナを建てるやら、一人また一人と、いつしかその「マンションが受信を分けてくれるケーブル=マンション線」に頼らなくなっていったとさ。しかしーー。
地デジから5年が経った今日、作業のおじさんたちは、まずマンションのアンテナを取り外した。そして、そこに繋がっている家々の「マンション線やアナログ線」を取って歩いたが、どこも問題はなかった。しかし、たった一軒、昭和そのものの平屋のこの家だけは、その「マンション線」にまだ頼っていたのだった・・・。
さて、困った。おじさんたちは思案した。一旦「明日アンテナ持ってきてあげるから、今日は地デジは諦めてちょ」と言われたのだが、その後、誰かがひらめいたらしい。「マンションで外してきたアンテナがここにある。これが使えるかもしれんっ」。

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彼らは再び動いた。そして、お古のアンテナを家庭用のポールに何とか無理やり取りつけた。「ちょっとテレビ点けてみてくださーい」 スイッチ・オン! おお、電波が!電波が届いたぞ!!
というわけで、総務省はああ言っているが、実は山間の地でなくても、地デジは映らない、ということが証明された事件でした。

そして、一時間後、やっと本番の「蜂駆除隊」が。でも、こちらは何だか天本英世さんをちっちゃくしたようなお爺さんで、どれですか、ああ、これですね、5分で取れます、これ(ちゃんと取れました書類)にサインしといて、じゃ、取りますから。って、脚立に乗って軍手の手でバリッと取って、終わりでした。えっ、終わり?
私「あの、蜂は…?」
ひでよ「いませんね」
この巣、そもそも私は全然知らず、登下校の小学生が見つけて意気揚々と先生に語り、先生は泡を食って区役所に「通報」という代物。住民そっちのけで、あれよあれよと駆除されることに。私は生き物が好きなので、蜂たちに避難勧告をしたい…とおもっていたくらいなので、いない(通報の時は居た。やはりテレパシーで危険を察知)と聞いて少しホッとしました。でも、ひでよがくださったパンフレットには、

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臭いが付いているとまた作る、と書いてある。軍手で取ってパンパンて払っただけでいいのかな・・・。しかも、パンフ渡しつつ、ひでよ「予防策これね。まぁ、あんまり効果ないですけどね」って、ひでよぉぉぉぉ。
拍子抜けするほど一瞬で蜂の巣取りが終わった雨の夕方、下校の小学生がさっき通って、
「どれどれ、蜂の巣の具合いを見て・・・」という声が聞こえたので、どうするかな、と耳をそばだてていたら、「あっ、ないっ。取られてるっ」って、だって君たちが先生に自慢したから取ることになったんだよ、君たちを刺したら困るから。だいたい「具合い」ってさw
子どもたちって、そんななんだよね。いいなぁ。

という、大変な今日でした。やっと落ち着いてコーヒーが飲めます。お客さんが怖い丁も、隠れ家(家内の某所)に入ったり出たりを繰り返していましたが、今はこれを書いているPCの前で一緒に居ます。丁、くたびれたねぇ…。はーー。

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# by tsunojirushi | 2016-09-23 16:47 | 日々の出来事 | Comments(0)

辰巳レシピの紅生姜

書こう書こうとしていて遅れましたが紅生姜。新生姜の出ている時期、かつ、梅干しを干して梅酢ができた時期、につくる保存食です。名著「手しおにかけた私の料理」の中に書かれた作り方を参考にしています。皇太子さまが小さい頃にお気に入りで、皇后さまが作り方を尋ねられたというエピソードがあるらしい。すごい。というか、小さいのに味覚が渋くていらっしゃる。
さて、まず新生姜です。近江生姜といって売っていたりします。それをスプーンで皮をこそげます。まぁ、ある程度でOK。

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そしたら、切ってお塩を薄くまぶし、半日ほど陰干しに。途中一度、裏返しをします。これで少し水分が抜けます。

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外側の水分をペーパータオルなどで拭い、梅干しを漬けた時に出る梅酢に漬けます。「紅」生姜ですから、赤梅酢です。紫蘇を入れたもの。容器はかさばるのでジップロックなどでも大丈夫。そのまま、冷蔵庫で1週間から10日漬けこみます。
10日経ったら取り出して、今度は天日に干します。丸1日くらい。これも、裏返しをして、全体をお日様に当てます。

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この工程をあと一回くらい繰り返して、完成です。ものすごく丁寧にやりたい方は、先達がいろいろ書いてくださっているので、検索などかけてみてください。ただ、何しろ梅酢ひとつとっても、その方の漬ける梅干しの塩分などが違うので、しょっぱさがいろいろてす。どれが正解、ということではなく、こういうものは何度かやってみて、自分の好きな塩梅を見つけると申しますか、食材の様子を見て、味わってみて、いい具合のところを見つけていくという感じかと思います。少なくとも、材料が材料ですから、傷んだりすることはまずありませんし。(一応、作業の時は、器具と私の手をホワイトリカーで殺菌しますが)

最終、干しあがったら赤紫蘇と交互に瓶に詰めて保管します。食べる時は、紫蘇と一緒に(ここがこの紅生姜の美味しいポイントです)刻んで頂きます。

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ご飯がべらぼうに進みます。お弁当やお茶漬けや、お料理のアクセントにとても役立ちます。手間はかかりますが、ほんものの旨さです。

生姜を干した後の「生姜風味梅酢」は、ここは我流ですが、もったいないのでもう一回使います。大根を切って、漬けこんださくら大根。

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あと、↓これは今年やってみて美味しかった組み立て。釜揚げしらす丼ですが、大根おろしにこの紅生姜を混ぜ、それを味付けにのメインに。+お醤油をひとたらし。

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さっぱりしてとても美味しかったので。全材料は、下から、ごはん、バラ海苔、万能ねぎと青シソ刻み、釜揚げしらす、そして、この紅生姜おろし、です。
前述の本もそうですが、辰巳先生の美味しい手仕事はとても丁寧で手間がかかります。ここまではなかなかできない。でも、少しでも何か手作りをすることで得るものは大きいんじゃないかなぁ、と思っています。下ごしらえをこつこつやり、天気を睨み、ある道具で工夫をし、無い知恵を絞り、でも思い通りにはいかなかったりして、時間はかかるけど、脳みそをいろいろ使い、多くを学べる気がします、手仕事すると。


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# by tsunojirushi | 2016-09-19 15:30 | 料理 | Comments(0)