木枯らし紋次郎

お世話になっている先輩と小冊子を作っています。「しる・みる・つくる」といって、その名の通り、身近な発見や「こさえること」をコンテンツとしています。もともとは、グラフィックデザインと文章の「制作見本誌」で、営業(お仕事くださいね)に使うツールです。時々しか出せませんから、ブログ版「しる・みる・つくる」(←飛びます)を設けています。ブログ自体のリンクもしました。
小冊子の最新の号外で、わたくしがここで記録している縫い物に関連して書かせてもらいました。その記事の中に、南米の楽器「ケーナ」の袋を載せています。遠くの音楽家の友人からの依頼品です。オーダーを受ける時は、どう使うのか、どんな感じがいいか、なるべく丁寧にお伺いします。発注者の音楽家がおっしゃるには、「南米の楽器なのに、篠笛が入っているのかな?というような袋がいい」と。持ち歩くものなので、少しクッション性が欲しい。とのことでした。つまり、股旅のマント(違)みたいなのかな、という話になり、そうそう!木枯らし紋次郎みたいなの、となりました。オーダー!木枯らし紋次郎のような笛袋!
さて、問題はサイズです。遠方なので笛をあずかることができません。そこで、例によってまず、手持ちのものでプロトタイプを作りました。

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古い着物のはぎれと裏地、在庫していた紐、そして、この笹留めのような留め具に至っては、かまぼこの板から削りだしました。我ながらあほちゃうの、と思います。

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削ったの図↑ 爪磨きで研磨中。
でもこれ、のちに大きすぎると判明し、本番は「しる・みる・つくる」の方に書いた、沖縄から来た笹こはぜが付いています。で、このプロトタイプ本体は、細すぎました。入ることは入るけれど、スキニースリムだとの連絡。それでこそ仮縫いの意味があるというもの、これを踏まえて本番にかかりました。
せっかくの木枯らし紋次郎なので、おもて生地は「三河木綿」を愛知県から。裏地はここはちょっとひねってハイカラにソレイアード風、形は研究の結果、昔ながらの、それこそ篠笛などの袋の仕立て方に倣い、裏と表の間に薄いキルト芯がクッションとして入っています。

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紐はMURUMIZUGUMIさんで見つけた綺麗な色のゴムの物。同店で求めた笹こはぜは沖縄から来たテリハボクを手作業で削りだした物。「日本の手仕事」を集めた構成となっております。
裏側にちょっと引っかけられるループを付け、ゴムとループを付けた場所を時代劇の馬乗り袴のスリット部分みたいな布で隠しました。自分で作った紙の笛(貰ったサイズで筒を作って試着用に使いました)を出し入れしてみて、大丈夫、と確認した上で、完成です。

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閉めちゃうと地味ですが。中が見えるとなかなか派手渋いです。苦労したのはセンターの縫い目。普通、袋物は目立たない脇などに剥ぎが来るものです。しかし、真ん中のスリットを作る関係で、あえて正面に縫い目が来ました。プリントならごまかしが利いて良かったのですか、なぜ縞を選んでしまったんだ>自分。というか、紋次郎だからしょうがないか…。曲がると一目瞭然なのでした。いや、曲がっています、すみません。二度縫い直しましたが見えない眼では限界でした。

出来上がった紋次郎は、西へと旅をして「手前生国と発しますところ…」と音楽家の手に渡りました。プロトタイプは返していいですよ、と言ったのですが、そこは音楽家、他に合う笛があるので、このまま頂きます、とおっしゃってくださいました。かまぼこなのに。
前のバッグの話にも書きましたが、問題は使い勝手と耐久性。今年の新春に納品しましたから、一年が経過。どんなかな、と思っています。そして、まだ人生に先があるなら、音楽家の吹くケーナの音色をいつか又拝聴したいと思っています。
どなたかの手に縫ったものが渡るのは嬉しいことです。特に今回のようにイベントとして愉しかったものは。ただ、そこに当然、責任も発生します。最近、そういう体験をして、いろいろと考えさせられました。

今回はB先輩のご厚意を得て、「しる・みる・つくる」とリンクさせていただいた御礼も兼ねて、これを書かせていただきました。



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by tsunojirushi | 2016-12-27 17:40 | 縫いもの・拵えもの | Comments(0)