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父の燕と縫った帽子

父は燕が来るのを楽しみにしています。毎年毎年。もう10年以上も、春にやってくると玄関に巣をかけるのを楽しみに待ち、入居者が決まって子育てが始まると、成長記録を入魂で写真に収めてきました。いろいろ面白い生態の話も聞きました。
ここ数年は、「来たけどやめちゃった…」ということが続き、寂しがっていたのですが、今年は、「抱卵」という名前が付いた写真がメールで届きました。

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写真自体は、被写体が警戒しないように、まだ玄関の中側から撮っているので良くはない。今までの写真にはもっと良いものはいくらもあるんだけど(超グロいのもある)、せっかく2017春版なので、新鮮なものを。夫婦で卵を温めているもよう。
お向かいのおうちにも巣があって、そちらではなんと、卵を残して親が出奔(正確には片方が出奔して交替制の抱卵続けられず)、別のカップルがやってきて、卵はどけちゃって、自分たちの子育てを始めたそうです。シビアだけど、自然の中の営みは興味深い。

さて、離れた場所にいる父の雛(もういい年)である私は、近年、帽子を縫っています。最初に縫ったのはこれ。


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自分のです。本当は平面の物をたたんでクラウンを作る帽子だけど、どうも高さがありすぎるので、中からぐるっと摘まんで縫い、低く。そのため、不思議なデザインになっています。が、かぶりやすく、愛用してい・・・たら、殿様が「縫って」というので好きな生地をご用意されたし、と言いました。
ヒッコリーストライプのデニムを指定されたのですが、裁ってみたら、裏側の方が良い。そこで、全部、生地の本来の裏を表にして仕立てました。(縫っていてちょっと混乱するw 中表って、えーと、ってなる)


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↑ 製作途中。 何しろ頭が巨大。聞いて驚け、60㎝超だ!!! そんな人いるのか、と思った。いや、いらっしゃると思いますすみません、大きな頭脳の人なんだと思う、発達しているということだ。わたしは並以下の脳みそなので57㎝弱です。で、本当に入るのか、この ↑ 段階で試着してもらった。かぶれないと困るので。


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で、仕上げた。かぶれました。60㎝超えだとなかなか売ってないって言ってました。じゃあ、まぁ、良かった。
・・・・それで頼んだんだな。うん。


父の昨年の誕生日に、ふと思いついて、父にも縫ってあげました。

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とうちゃんは、燕が好きだから、燕の刺繍をしてあげました。

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生地はその昔、三茶の路上で買ったデニム。カバンの記事←ここで縫ったバッグと同じ生地です。
送ったら大変喜んで、毎日かぶってもうダメにしてました。早! また縫うか・・・。

ずっと元気でやってきた父がさすがに年齢からそうそう元気ではなくなって、何より本人が、その状態に慣れるのが大変だった、そんな感じの昨年来です。今は、少し落ち着いてゆっくりやっているようです。
先のことをかんがえると、ふがいない子どもの自分のことを主に、すごく悩むけれど、悩みすぎても仕方ない、と自分に言い聞かせ、まずは今年の「燕通信」を楽しみにしているところです。
どんな人も、世の人みんな、生きるのは大変だ、と日に何度も、かんがえます。たとえ、表面上はそう見えていなくても。


by tsunojirushi | 2017-06-04 14:11 | 縫い物 | Trackback